October 30, 2008

システムエンジニアとか

記事全体で著者が言わんとしている、現状のIT業界における業界構造をどげんかせんといかん、というテーマについては、同意できるんだけど。

昔、コンピュータを買う、ということは、IBM等の大型機、汎用機といわれるコンピュータを導入する、ということだった。当然ながら、当時のコンピュータは、今のようなGUIはないし、そもそもでかいし、空調とかがしっかりした部屋に鎮座させないといけないし、それこそ、腫れ物を触るように接する必要があった。とすると、これも当然ながら、ユーザがコンピュータを買ったところで、使いこなせなきゃ意味がないが、使いこなせるわけがない。となると、使いこなせる人を調達する必要がある。で、どうしたか。IBMは大型コンピュータを売る一方で、その売ったシステムを使いこなす要員を一緒にセット販売したのである。そのセット販売された要員たちの職業をシステムエンジニアと言った。

つまり、コンピュータを買う、ということは当時、使いこなす要員を含めた、年間使用量の複数年契約だったわけ。

で、逆に、システムエンジニアさんたち自身からすると、IBMから送り込まれたので、IBMの社員ではあるんだけど、コンピュータを買った客先に常駐し、客が望むことを自社の売った製品である、コンピュータ上で実現することを生業とする。業務分析とか、設計、実装、テスト、リリースといった一連の流れで仕事をしていたことが想像できる(もちろん、開発プロセスとして確立されてたとは思わないが、似たようなことはやってたはず)。

今でいうと、情報システム部門の一括請負アウトソーシングみたいなものか。

そうすっと、今巷で言われている「システムエンジニア」という職業とそれほど、乖離していないということがわかる。

でも、当時のシステムエンジニアには、いまでいう、要件定義等を行う上流SE,あるいはその客先専用のアプリケーションを作る、アプリケーションプログラマ、運用、保守エンジニア、テスター、全てが含まれていた。じゃ、当時、プログラマは何をしてたか、というと、おそらく、IBMの社内で、OSとかコンパイラとか、リンカ、ローダ、あるいはデバイスドライバ、エディタ、といった、上述のアプリケーションプログラマ(当時のSE)が利用する基盤となるソフトウェアを作ってたはず。

そう考えると、システムエンジニアよりプログラマの方が偉いのは当たり前。そりゃそうだ。コンピュータサイエンスの高等教育を受けていないとできない仕事だから。

アメリカでなぜプログラマが偉いのか? 専門教育を受けた(つまり、育成にコストがかかっている)専門家だから。あるいは、そういう専門教育を受けていないとできない職業である、とみなされているから。

これは、グーグルがエンジニアを募集する際に、コンピュータサイエンスの修士号以上を保持するものに限定していたことからもあきらか。

翻って、日本。

SEは設計をする人、PGがコード書く人というのが一般的な解釈になってるし、現にそう理解している人も多いみたい。でも、PG書けない奴(書かない奴とは違う)が設計できないし、設計を理解しないで、プログラムが書けるわけがないのは明らかで、なんでそういう分類になったかというと、これはもう、企業内におけるキャリアパスの設計上のミスなんじゃなかろうか。日本の古いホワイトカラーなキャリアパスモデルになんとか、このコンピュータ系エンジニアを当てはめようとすると、こうなっちゃうのは仕方ないよね、とも思う。あとは、そういったエンジニア群を率いるのが、エンジニアを経験したことがなかったりすると、もうどうしようもない。

医者の世界で、医療事務のエキスパートたる事務局長のようなポジションの人が、いきなり医局のトップに降りてきて部下たる医者に指図したり、っていう光景はありえないはずなんだけど、コンピュータエンジニアの世界ではそれが当たり前になっている。

そういう組織なもんだから、コンピュータサイエンスの専門家を専門家として処遇するような会社は少ないし、今のIT業界でサラリーマンとして生きていくことを考えたら、コンピュータサイエンスの高等教育を受けたことによるメリットは、おそらくない。(実質的に、エンジニアとして活躍できるか、という観点ではなく、SEという職業について、食いっぱくれなく処世していけるか?という観点で。)

どっかの記事に、情報系学部に進学する学生が減っている、という記事があったけど、そりゃそうだ。メリットがみえないもん。技術系企業側も新卒採用の際には、文系学部卒でも、立派なSEやってますからあなたでも大丈夫、なんて誘い文句がそれほど腐るほどあるし。

たとえば、経済学部、経営学部のようなところに行って、大学時代は理系より楽、就職活動でも、あわよくば、金融系の高年収職業に、だめでもSEなら、って青写真が描けるのであれば、コンピュータサイエンス系学部に進んで、PG,SEに絞られている、という状況の方が選択肢が少なくリスクが大きいと考えてしかるべきだろう。

なので、情報系学部に進学する学生を増やしたいのであれば、コンピュータサイエンスの高等教育を受けた人材が活躍できる場をもっと作らないといけないし、コンピュータの勉強をしてたから成功できた、という成功事例を作んなきゃいけない。 ってことで、成功事例目指して頑張ってください。>誰か。僕も頑張ってますから。


Posted by money at October 30, 2008 1:23 PM | TrackBack
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