October 6, 2015

エクサスケールの衝撃

これはね、コンピュータ・サイエンスをかじった人間にとっての、壮大な夢なんだよ。

エクサスケールの衝撃
エクサスケールの衝撃齊藤 元章

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先日話を聞いてきた、WIRED AI 2015 TOKYO Singularity Summit #1 での、(僕個人的な評価として)ヘッドライナーだった、斎藤先生ご自身の著書。

カンファレンスでの講演は、(会そのものの性格に合わせて)技術的な話を盛り込みつつ、こうやって、人類70億人分の脳みそに相当するCPUを6リットルのサイズに納めた次世代スーパーコンピュータを実現するんだよ、めどはついた、あとは実装するだけ、という話題だった。

本書は、エンジニアではない読者を相当に意識し(おそらく、予算、助成金執行を握る文系の役人を念頭に置いたんだと思う)、技術的な「どうやって実装する」という話はほとんどなく、そんな莫大な能力を備えた超スーパーコンピュータを作って、何に使うの?という話と、それが実現できたら、我々人類は、どのような世の中を迎えることができるのか、シミュレーションしておくことによって、今からココロの準備をしておこう。これは、国家間の戦争だ。こんな偉大なパワーを好戦的な他国なんかに先を越されると人類は不幸になる。この偉業は日本が世界に先んじて実現するべきなのである、という話で終始している。つまり、夢しか語っていないし、とっても楽観的だし、とても性善説に満ちあふれていて、読んでいてとても幸せになれます。でも、この楽観視、性善説なのは、この著者が育ちがよくて、とても幸せな人生を送ってきたからなんだと思う。世の中、先生が思うほど、みんな創造的ではないし、論理的じゃないし、自分が幸せになることより、人の足を引っ張って、抜けがけさせないことにパワーを費やす人が多いんだけどなぁ、と、いろいろ見てきた僕は思うわけです。

あと、このCPUがが実現できた。なるほど、確かに、 計算パワーは、恐ろしいまでのパワーが得られるだろう。でも、著者が本書で描く世界を実現しようとすると、いったい、どれだけのソフトウェアを書かないといけないのか?ということをソフトウェア工学屋の僕は思ってしまうわけで、結局、ソフトウェアがボトルネックとなって、著者の考えるタイムスケールでの、シンギュラリティの実現に対して足を引っ張ってしまうんじゃないか、と心配しているわけです。なんせ、なんちゃってプログラマーしか作って来なかった我が国ですからねぇ。どこかで微力ながら斎藤先生のプロジェクトの片隅で何かに貢献できるような機会があるといいんですが。


Posted by money at October 6, 2015 12:16 AM | TrackBack
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